立春を過ぎても周囲には雪が残る那須のアトリエに伊藤七男さんを訪ね、暖かいストーブの前で、絵にまつわるお話をしていただきました。
アトリエ 訪問
伊藤七男(いとうななお)さん
☆伊藤七男さんの…
好きな画家 :
これまでの歩みの中で、たくさんの画家の作品を見て来ました。
その中には自分でも無意識のうちに影響を受けている画家や作品が、存在するかもしれませんが、私が最も好きな画家は作品上で線が、重要な要素を占めるスイス生まれのパウル・クレー*です。
だからこそ、彼への憧憬も込め、鑑賞するための補助的な実技としてオイルパステルによる技法『ナナグラム』 ► ►をあみだしました。
つまり、自分自身で同じ様な作品が描けたら、論理ではなく感性でクレーを少しは理解できると思ったからです。
描くことで知らないうちに好きな画家を近くに感じられたら、言うことはありません。
こだわり :
私は大学院まで具象に力を入れ描いていました。
でも、修了する頃、自己の内なるリズムを作品化できないかと考え、制作したのが、時に現在も展示する作品「同想」です。
これは絵画作品が成立するために、「カタチ」と「色」が必要と考えている私が、「カタチ」を追い求めると「色」は必要ではなくなり、その結果、作品は無彩色の線と模様だけの構成になりました。
一方、「色」を求めたら、「カタチ」はなくなってしまい、透過光を入れることで成立するステンドグラスの様な「ステンドペーパー」的な作品になりました。
だから、「カタチ」と「色」が共存する私の作品はほとんどなく、相入れない2系統を両輪に制作を続けていることになります。
パウル・クレー* Wikipedia ► ►