アトリエ 訪問

穏やかな3月の午後、川越市にある佐藤伊智郎さんのアトリエで
アートとの関わりを語っていただきました。

佐藤伊智郎(さとういちろう)さん

佐藤伊智郎さん、自宅アトリエで…

☆佐藤さんの…
好きな作家 :

歴史的に見ると好きなのはルネサンス期を代表する芸術家レオナルド・ダ・ビンチ、そして現実を考えると宇田川誉仁(うだがわやすひと)さんです。日本で宇田川さんはホビー系や模型関係ではよく知られている方で元々は建築分野出身のアーティスト、機械昆蟲等とてもユニークな作品を制作をしています。彼のオブジェはこれまで東京書籍の「中学校・技術」の教科書や日経の月刊パソコン誌の表紙等様々な媒体で広く使用されているので多くの方々の目に触れているはず。私が宇田川さんに初めてお会いのは、今のビッグサイトではなく昔の晴海展示場のホビーショーだったと思います。その時は1人のお客として立寄っただけでしたが、宇田川さんがFRP造形のできる人を探していた時、人を介して紹介され、2005年8月にロサンゼルスで大々的に行われたナイキ主催*WHITE DUNK PROJECT展用作品の制作、カメラ・スピーカーを頼まれました。それ以来何かと親しくさせていただいています。作品は言うに及ばず、宇田川さんの素晴らしさは、作品に対する姿勢、料金体系も含めて、誰もが納得できる様にしていること。そうした仕事に対する姿勢から、私は学校では知り得ないことを直接本人から学んでいると思っています。ただ、それだけの技量を持った人たちが、日本では純粋美術とは見做されず、海外では間違いなく純粋な芸術家として高評価されているのです。そのギャップは、不思議に感じてなりません。
*WHITE DUNK PROJECT展
http://www.ugauga.jp/museum/g7/white_dunk_project.html
http://www.ugauga.jp/museum/g7/whitedunk_2.html
*宇田川さんホームページ
https://www.ugauga.jp/menu.html

こだわり :
私は父が彫刻家だったせいもあり、子どもの頃から美術の仕事が如何に難しいかを見ていたので、作家になりたいと思った事は無く、高校生まで理系志望でした。ところが突然の姉の死をきっかけに両親をはじめ周囲の様々な状況を考え、姉の手記から、姉が志望していたファッションへ進むため美大の専攻を変更しました。卒業後は依頼された制作をしながら、デザイナーや教師として働きました。そうこうしているうちに知人から店内什器を頼まれ、そこにたまたま来店された画廊の奥様が家具を気に入り、その縁で銀座石川画廊で企画展を催すことになりました。個展会場では、初めてお会いする様々なお客様と自由にお話させて頂き、多くの方に喜んでいただけました。たった1人の人間が、作品を通す事で、より多くの人と繋がれる素晴らしさを体感。その後多くの経験を積み、アトリエを建てたのを機に教師を辞め、本格的に作家の道に入りました。ただ美術業界に身を投じて分かったのですが、諸外国では美術がビジネスとして成立しているのに、日本は旧態依然とした「売ることは卑しい」と思っている人がいます。その状態を少しでも良い方向に持っていきたいと思い、多くの人に美術という仕事を知ってもらうためのイベントを企画したりしています。私を支えてくださっているお客様・友人は、ほぼ全てこの仕事を始めてから知合った方々です。微力ながら「作家として賞がなくても、有名人でなくても、コツコツやっていればここまでは成し遂げられる」ことを立証したいと思いながら日々様々なことに励んでいます。

*2020年3月12日にインタビュー

プロフィール

佐藤伊智郎さん
造形作家
1968年:埼玉県川越市生まれ、天秤座、A型
1995年:武蔵野美術大学大学院空間演出デザイン専攻卒業
大学院卒業後は作品制作をしながら企業のデザイナー、
公私立中高校、東京都特別市民講師、専門学校の講師を歴任。現在は造形作家として川越市にアトリエを構え制作活動に専念。父は、彫刻家の佐藤健次郎さん。

◇主な展覧会
1998年:個展 銀座石川画廊(画廊企画/以後各年〜2011年)
2004年:浜名湖花博 庭文化創造館(音庭担当作家)
2008年:時を泳ぐ 東京丸ノ内展示(東京都経営者協会ウィンドウ企画)  
2010年:Art Expo Malaysia 2010 出品参加 
2011年:日展出品(国立新美術館)
2018年:韓国 Seoul International Art Expo (招待)
*詳しくは →
https://ichiro000.web.fc2.com/index.html
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