アトリエ 訪問

台風15号が去った数日後の9月上旬、河野麻実さんと新宿アルタで待合せ、近くの喫茶店で好きな作家、制作についてのこだわりを語っていただきました…

河野麻実(カワノアサミ)さん

制作中の河野麻実さん

☆河野さんの…
好きな作家 :

人の温もりと躍動感があり、その人じゃないと描けないタッチ、AIでは絶対に描けないオリジナリティーがあり、絵具をしっかり映像に昇華できる作家に惹かれます。例えば、美しい筆さばきで墨にも関わらず豊かな色彩を感じる雪舟、厚い絵具の部分と平面の対比がうまく、絵なのに立体的に見えるローラ・オーウェンス、エリザベス・ペイトンはタッチがすごく良くて潔く、発色も綺麗で配色もかっこ良く、本当に決まっているなって思います。ウィレム・デ・クーニングはベチャって描いているのに人物に見えるし、リュック・タイマンスはゆるいタッチが特徴的だけど、すごいなって思うのは日常的な視線でどうでもいいモノを描いているのにかっこいい絵になり、モチーフより、どう描いてあるかが大事なのかを示してくれました。そして、2015年に新宿眼科画廊で二人展「透けたユートピア」を一緒にした芸大の同級生/木村有沙は場の設定がうまく、優しい絵、切ない絵を描き、彼女独特の世界観を展開、そこには突出した才能が見えます。他にも、サイ・トゥオンブリー、デイビット・ホックニー、テリー・ウィンタース、OJUNが好き。あと、作家ではありませんが、日本だけの存在だと思う新宿美術学院等で見られる予備校絵画には大変心惹かれます。

こだわり :
絵画とはどこまでいっても、ヴィジュアルの世界だと思っています。見た目の美しさ、それを一番大事にしています。特に、抽象的リズム、鮮やかな発色、気持ち良いタッチ、美味しそうな絵肌、心地良い色配り、余白と絵具のバランス、これらは美しい絵画を生み出す上での大前提となるものです。意味や概念などに囚われず、画面上の純粋美だけを感じてほしいです。絵画とは「何が描いてあるか」ではなく、「どう描いてあるか」が重要なんです。人類に共有されている普遍的な深層心理に働きかけ、美しさで心を奪うような絵が描きたいです。「絶対的美的価値基準」は存在すると信じていて、それが何であるのか探求し、新たな美的価値基準を発見し定義することこそが私の使命です。そして制作に関してですが、私は人格と作品は別と考え、公私混同したくないので作品に感情移入はしていません。ただ、そうは言っても個人のエッセンスは自然に溢れ出てくると思います。だからこそテクニックは大事、そう考えながらドローイング職人を目指す28歳の私です。

(トップ写真提供:河野麻実)

プロフィール

河野麻実(カワノアサミ)さん
【略歴】
1991 茨城県に生まれる
2016 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2018 Art Lab TOKYOに所属
【受賞歴】
2012 ポコラート全国公募 入選
2014 ACTアート大賞展2014 優秀賞
2014 GEISAI#20 ポイントランキング9位
2015 ターナーアワード2015 未来賞
2018 ワンダーシード入選
【メディア出演歴】
2014「現代美術史日本篇」(中ザワヒデキ著)
2016「AbemaPrime」ざっくり!社会学(AbemaTV)
2017「ブレイク前夜〜次世代の芸術家たち〜」(BSフジ)
【主な展示歴】
2015 現在幽霊画展(TAV ギャラリー)
2015 透けたユートピア (新宿眼科画廊)
2016 ネオ春画展(アートラボトーキョー)
2016 境界線がほころぶとき(アートラボトーキョー)
2017 スナックGINZA展(銀座ミーツ/アートラボトーキョー協賛)
2018 公募落選展(アートラボトーキョー)
2018 向こう側に渡ったら(アートラボトーキョー)
2019 hanabi展(アートラボトーキョー)
【その他活動歴】
2015 会田誠のぼったくりバーゲストトーク(美学校)

 

小作品  河野さんのスマホとタブレット  「脱あおいうに展」DM 

 

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