アトリエ 訪問

酷暑の8月初旬、秋葉原のギャラリーアートラボ・トーキョーに菅間圭子さんを訪ね、好きな作家、こだわりを綴っていただきました…

菅間圭子(カンマケイコ)さん

アートラボ・トーキョーでの菅間圭子さん

☆菅間さんの…
好きな作家 :

その時々で気になる作家はいろいろ。ペインティングとインスタレーションなどの構成の仕方という点ではマルティン・キッペンベルガーが一貫して好き。また初期に影響を受けたのはアルテ・ポーベラの面々。さらにローズマリー・トロッケルやモナ・ハトムらの女性作家も。日本ではやはり北斎。それから、尾形光琳の弟子で後に江戸琳派の祖となった酒井抱一。光琳の整然としたデザイン性よりも少し散らかった(笑)感じのある抱一の画面構成が好き。また、視覚芸術単体より包括的な体験となりますが利休の侘茶の世界も非常に惹かれます。時代は飛びますがギリシャの壷に描かれた絵や、さらに遡って縄文土器など、いわゆる古代やそれ以前のプリミティブなアートも好きですね。最近ではアフリカのコンテンポラリーアートの作家達の、民俗性・地域性を背負いながらも現代美術のセオリーを通過した上で成立している独特の強度を持った作品群が非常に気になりますね。

こだわり :
特に信条とかこだわりはない。ただ長年展開している写真による「’Ready-Made’Phenomena」シリーズでは、「創らない/操作しない」という自分なりのルールが。これは主として市街地にある光景にしばしば完璧な構図を見出してシャッターを切るという行為なんですが、「発見」した現象をいじらず、そのまま切り取るということ。小石一つ動かさないというのが自分の中でのルールですね。また、インスタレーションの制作では、プラン8割・現場2割というバランス(この数字はときによって多少変動しますが)が多いかな。偶発性や即興性を取り入れていく。これはペインティングでも同様です。パフォーマンス作品だけでなく、映像、絵画、インスタレーションにも、どこかにliveな要素があるということ。その意味では私はパフォーマーの要素が強い作家だと思います。

(文章・作品写真提供:菅間圭子 撮影:関 幸貴)

プロフィール

菅間圭子(カンマケイコ)さん
菅間圭子はインスタレーションやパフォーマンス、写真、絵画、映像、サウンドといったメディアで制作し、1997年からはヨーロッパ、アメリカ、カナダ、アフリカ、日本などのアート/パフォーマンス・フェスティバルにたびたび招待出品。欧米やアジア各所の街でとらえた「アート」を感じさせる瞬間をカメラによって切り取るコンセプチュアルな「’Ready-Made’Phenomena」シリーズのほか、具象と抽象のキワをゆく絵画なども。2007年ニューヨークで個展。京都の寺や奈良の平城宮跡での野外展示、渋谷ヒカリエなどでも数回展示。2019年3月には米国・イーストンで2人展(IF Museum)。アートラボ・トーキョーのディレクターとしてキュレーションも。

 

「星霜」平城遷都1300年祭公式招待展「時空」でのインスタレーション 2010年  ‘Ready-Made’ Phenomena シリーズより Hong Kong ’18 (18HK7844) 2018年  Neo Tokyo Rhapsody(video) 2018年  visible/invisible  インスタレーション(部分)2019年 IF Museum, Easton, Pennsylvania, USA 

 

Archive | アーカイブ

◄ BACK